SABI− 行き交う弾丸

うゆぽんの↓続き書きましたー!!
http://d.hatena.ne.jp/rindou-uyu/20130816/1376662068

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「危ないッ!離れろ!!」

−−−−ドォンッ!

ショットガンから放たれた赤褐色の物体は、
ナギ、リクヤ、タイガから少し離れた街灯に衝突した。

「なんだ?どこ狙って撃ってるんだ」
「彼は一体何者なんですか…」

3人はとっさに建物の陰に隠れ、
チラチラと襲来者の動向を伺う。

「おい、なんか変じゃないか…あの街灯…」

指を指す方向を見れば、先ほど被弾した街灯のサビが
みるみる拡がっていく

もともと錆び付いて塗装が剥がれかかっていたが、
増殖していくサビが塗装部分すらも覆いこんでいく

「まさか…っ!SABI 化しているというのか!?」

白い塗装が全て錆色に変わると、まっすぐに立っていた街灯は
お辞儀をするように折れ曲がり、電灯が地面に接する瞬間
−−−−バチッ
一瞬電球が光り、消え、錆びた棒は赤褐色の粉塵となり
ボロボロと崩れ落ちた。

「…チッ!不発かよ!なんだってこれからって時に…」

ショットガンを持った男はガシャン!と銃身を折り曲げ
その内部を確認しはじめた。

「もしかして、チャンスか?」
「まだ油断するな。相手は飛び道具を持っているんだ−−
 …
 …って!ナギ!?」

一番後ろにいたはずのナギが立ち上がり、
前方の敵へ駆けていく。

「大丈夫です!飛び道具ならわたしも持っていますから!!」

そう言うと、腰に下げた矢筒から矢を一本出し
走りながら弓を構える。

「あいつは、とんだ鉄砲玉だな…」

駆けていく背中をみながらリクヤがつぶやいた。

「飛び道具を持っている自分が行くべきだと判断したのかな?
 とはいえ、イキナリ突っ込んでいくほど
 ナギもバカじゃないよ。ホラ、ちゃんと間合いをとってる。
 …あの距離なら回避確率は86パーセント。」

「…そうか、100パーセントじゃないなら援護しないとな。
 タイガ、お前は支部への連絡を頼む」

「わかった。ナギのフォローは頼んだよ!」


空の上には満月。
もともとここにあった街灯は錆びて崩れ落ちた。
少々薄暗いが、相手の顔さえ視認出来ない程ではない。

薄暗くも数十メートル先の相手の表情が見えるのは、
基地から照らす、サーチライトがここ一帯を照らしてくれるからだ。

(大丈夫、私は一人じゃない。)

ナギは、弓を引き、少し高いところにいる男に向かって叫んだ。
「我々はSRF(サーフ)です!
 ここにいるのは危険です!
 両手を上げ、こちらへの投降を願います!」

不審な男は、ナギの方をちらと見やると、
諦めたように銃を投げ捨てた。

「女が出迎えてくれるとはなぁ!勇ましいねぇ!」

男はそう言うと、足元に踏みつけていた蠢く物体から
足を放した。

「あんたの仕事、見せてくれよ」

蠢く物体…SABIはナギに向かって、時速30kmほどのスピードで進む。
散乱していた瓦礫は飲み込まれ、後方には錆色の道が出来上がる。

飲み込んだ瓦礫の質量分、SABIは肥大化していき
ナギの側に近づく頃にはナギの身長と同じ高さになっていた。

眼前に迫るSABIに対し、ナギは
ひるむことなくたがえていた矢を放つ。

−−−−ザシュッ

矢を埋め込まれたSABI は、震えるように振動したあと
がらがらと音をたてて崩れた。

「ハァ…やるねぇ…」

「そこまでだ」

ガシャン!という音に違和感を感じて振り返ると
自分の右手に拘束具を付けられていた。

「お前…」
「どうやら俺には気づかなかったようだな。」
リクヤは男の手を後ろに回し、両手を動かせないよう固定する。

「リクヤ!!」
ナギが駆け寄る。

「ナギ、さすがだな。」

近くまで来たナギを見て、拘束された男が驚きの声を発する。

ナギの、その背の高さに。

「ぁん?…お、お前…男だったのか!」
「えぇっ!?わたし、おとこじゃ…」

思いもよらなかった言葉に狼狽するナギは男を見下ろす。
二人の身長差は…男が思っていたよりあったようだ。

「あんたがチビすぎるんだよ」

会話に入って来たのは、チビ呼ばわりする相手と
そうそう身長の変わらない、タイガだった。

「なんだァ?お前に言われたくねぇな。」
「そんなことより、あんたは誰だ?ここで何をしてた?
 …それになんだよその靴!なんでSABI に侵食されない?」

「たっ、タイガ君落ち着いて」
イライラした様子で矢継ぎ早に質問を投げ掛けるタイガに
ナギが声をかける。

「タイガ、上は何か言ってたか?」
「捕獲しろ、って。応援部隊も寄越すってさ。
…まぁ必要なさそうだけど。」

リクヤはそれを聞くと、そうか、と頷き、
名の知らない男に向けて話しかける。

「俺の話を聞いてくれるか…。
 俺達、錆除去自衛特殊隊―通商SRFは、国家の命において
 SABIの脅威から国民を守るため、SABIの浄化活動を行っている。
 もし活動を妨害する人物が現れた場合は捕獲する許可を得ている。
 これからあんたを本部に連れていくが、もし暴れる場合は−−−」

「ちょっと待ってくれ」

「誰だ!?」

声のした方を見やると、
長身の男が両手を挙げながら近づいてきた。

「待ってくれ。怪しいもんじゃない」

不審な人物のさらなる登場に、ナギ、タイガは武器を構え直す。
再び、緊迫した空気が漂う。

「誰だ?お前の仲間か?」
「…あぁ。」

「あんた等の邪魔をするつもりはない。俺は探し物を…こいつを探していただけだ」

長身の男はそう言い、自分の上着の中に手を入れ
何かを取り出そうとする。

「動くな!」

タイガが制止の声をあげる、
だが、すでに上着から一部、見えてしまっていた。

見えたのは、動物の耳。

「ね…こ…?」

上着からひょこと顔を出した動物は、茶色い猫だった。
良く見るともともとは白い毛並みだったようだが、泥とさびで茶色く汚れている。

「そいつと一緒に、探していただけだ。なぁ、ロウ。
 銃は護身用だ。」

長身の男は、自分の相方の名を呼んだ。

「そうだったのですね。そうとも知らずに
 矢を向けてしまってすみませんでした…ロウさん。
 わたしは、ナギです。」

「わかってくれたんなら、これを外してくんねぇかな」

「…待ってナギ、気を許すの早すぎるよ。
 僕たちだって、こいつに銃口を向けられてたんだ。」

どうしても腑に落ちない様子のタイガが、
ロウに近づかせまいと、ナギを庇うように前に出る。

タイガがキッと睨むと、ロウは苛立たしげな表情を一層濃くする。

「そうだな、あんたたちに聞きたいことはまだ色々ある。
 詳しい話はうちの本部で聞こう。
 すまないが、念のため手を拘束しても構わないか?」

リクヤが長身の男に話すと、長身の男はひとつ頷き、

「ああ、問題ない。抵抗するつもりはないからな。
 あんた…ナギと言ったか。こいつを預かってもらえるか。」

男は、上着から猫を出し、ナギに渡した。

「はい。えぇと……お名前…」
「俺は…エン。」
「エンさん!この子のお名前はなんですか?」
「こいつ…の…名前…?」
「はいっ!」

ナギは屈託のない笑顔でエンを見つめる。

「その猫の名前は"マドカ"だ。」

二人のやり取りを見ていたロウが言う。

「マドカちゃん…可愛い名前ですね。」

ナギの言葉を聞いたエンがゴフォッとせき込んだ。
かけているゴーグルのせいで、表情はわからない。

「どうしました?」
「・・・いや、くしゃみしただけだ。」


……………

闇夜に現れた不審人物。ロウとエンは、
ナギ、リクヤ、タイガに連れられて本部へと向かう。

白い猫のマドカと共に。



つづく・・・・・・・・・?

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うっへぇーやっとかいた(´∀`)
こうしたいな〜ってイメージは頭に浮かんでたんだけど
それを文章にするとなると難しいもので、
ボキャ貧すぎて、言葉がまったく浮かばないわー(^^;)
今年はもっと本読も。図書館いこ。


ちなみにうちのこはこちら↓
2013-08-06 - ものおき

SABIってなあに?↓
SABI設定いろいろ - 亀の屍を超えてゆけ!!

かめちゃんがロウ描いてくれた!↓
久しぶりにSABI - 亀の屍を超えてゆけ!!
服とカラーまで考えてくれた!!ありがとう!!!!

ここで裏話でも。
ロウがナギたんを男だと思ったのは、いままでロウの周りに女の子があまりいなくて
女性は、自分より身長が小さいものだと思っていたからです。
いままで周りが男ばっかりだったからSRFのみんなを見て、ちくしょう青春しやがって…!
って思いこんでイライラしてる人です。歪んでますね。

猫に付けた名前は、エンの本名(円)と一緒。ロウが勝手につけました。

エンロウの本来の任務が猫探しなのか、もしくは本部への潜入か(猫はたまたま見つけてカモフラージュとして連れてきた)
どっちなのかは、今後の展開でどっちでも転べばいいと思ってるので、はっきり決めてません。
描きやすい方で進めばいいんじゃないかなぁ←

つづきは…本部編書けそうな人いたらお願いします!
続かなかったらここでおわりであります。


あと、uyuさんちのキャラこんな感じかな―って書いてた。
ナギ→思い立ったら行動派
タイガ→状況把握に長けてる。思ったことは口にするタイプ
リクヤ→落ち着いていそうなのでリーダーにしとこう

今見直したら口調が違う・・・(^^;)
脳内で正しく変換しといてくださ・・・←