ルクフリSS

http://d.hatena.ne.jp/rindou-uyu/のuyuさんからSS貰いました!

ルク兄さん離れを決意したフリード(推定15)が、ルク兄さんを
自分の護衛から解任したあとのお話です。


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自分は護衛だ。
誰がなんと言おうと、ルクレガン・エドラムはスーリヤの王族フリード様の一番の護衛なのだ。
だから、彼が父の跡を継いで商人隊を新しく作るのであれば、護衛である自分が付いていくのは当たり前のことだった。確認をとるまでもない。今までだってずっと側にいたのだから。
ーーその「当然」が自分だけのものだったと知った時、自分は何も言えずに彼に背を向けて飛びさってしまった。


「ああ、やっぱりここにいた」
三角座りの膝に埋めていた顔を上げると、屋根によじ登ろうとしているフリードの姿が見えた。今にも滑り落ちそうな所で、反射的に彼の腕を掴み引き上げる。ありがとうと掛けられた言葉は温かく、先程まで沈んでいた心が一瞬浮上したようだった。
「ルクは考え事する時はいつもここに居るな」
言われて、辺りを見回す。ここは城下町を見渡せる城の屋根の上だった。自分の翼であれば、もっと高い場所へ行く事もできる。しかし、ここはヒトが自力で登ることのできる唯一の一番高い場所だった。
無意識の内に待っていたのかもしれない。困ったように笑って、手を伸ばしてくれる彼を。
「でも、私もこの場所は好ましく思う」
呟いて、雲がまばらに見える青空を見上げる。フリードの横顔は穏やかで、その言葉に嘘は無いように思えた。
「フリード様。自分は役立たずですか?」
「ん、どうしてそんな事を聞く?」
「自分は、来なくていいと、先程……」
はっきり本当の事を言って欲しかった。その反面、やっぱり聞きたくないと尻込みする自分もいて、段々小さくなっていった声は途中で止まった。
「……そうか。勘違いさせたな。すまない」
自然に伸びた繊細な、かつ男らしい大きな手が、優しく自分の頭に触れる。その手は白い絹糸のような髪を鋤くように流れ、肩のところで小さくぽんと置かれた。
「置いていくと言ったのは、俺が自立するためなんだ」
「じりつ……?」
「その、世話になりすぎてると思って。このままじゃルクが居ないと何も出来なくなるんじゃないかと。シルヴァンにも呆れられて」
シルヴァンは先王の代から城に住んでいる貴族である。誰に対しても嫌味しか言わず、其れしか楽しみがないのかと言いたくなる偏屈爺だ。
自分は彼があまり好きではない。顔をつき合わせると、いつもフリードを悪く言うからだ。
「そんなの、気にすることありませんっ」
「まあ、それはきっかけだ。一番は一人で試してみたいと思ったからで……」
と、フリードの瞳が真正面からこちらを捕らえる。金色の髪が風にふわりと舞って、整った顔立ちは物語の王子様がそのまま抜け出して来たようだった。というか実際王族なのだから、こういう顔はもっと他の淑女に向けるべきだと思う。いつになく真剣な眼差しに目が反らせなくなる。
「ルク。護衛ではなく、友人として応援してくれ」
「嫌です」
「なんでだ!」
「応援は、します。当然です。でも、友人は嫌です」
何故そこだけ頑固なんだ、と苦々しく睨まれても、これだけは譲ることは出来ない。「友人」になってしまったら、自分は友人という枠の中のたくさんの一人になってしまうからだ。
最初は友達になりたかった。でも、ある時それでは嫌だと思ってしまう自分に気づいたのだ。他の誰でもない、フリード様の特別でありたいと。それは自分にとって初めての我が儘なのかもしれない。
「自分はフリード様のお帰りを此処でお待ちしています」
護衛でなくなれば、彼にとって自分は一体何なのだろう。
「ルクももっと自由に生きていいんだぞ?」
「……いえ、自分はフリード様の帰る場所で……」
帰る場所?
自分で言った言葉にハッとさせられる。そうだ。自分の守りたいものがまだあった。彼が好きだと言ってくれたこの場所。
「フリード様の帰る場所を、お守りします!」
それが自分にとっても何よりの幸せなんだと確信できた。里を出て、長という責任からも逃げてしまった自分の、唯一守りたいと思える居場所。
「……ルクがそうしたいなら、止める権利は私には無いな」
困ったように少し苦笑する。
そんな表情も実は好きだったりする。自分のことを想って、向き合ってくれているのだと感じられるから。自分はフリードと出会って性格が悪くなったかもしれない。
「自分はフリード様の特別でありたいんです。それが自分の幸せの色なんだと、気付くことが出来ましたから」
きっと今の自分は満面の笑みを浮かべているのだろう。

あなたを待っています。
自分が自分らしく居られる幸せの色と共に。

          1. +

なにこれ……嫁宣言にしか見えないんですけど……
こんなん出来ましたけどー!w
口調とか間違ってたらバシバシ直したって下さいっ。
で、私の方からは厳しいんで、あんたんのダイアリに出してもらって…良いすか?

−−−−−−↑ここまでuyuさんのターン↑−−−−−−

いいすよーヽ(´▽`)/
ってことで、現在パソコン故障中のuyuさんに変わって
わんのダイアリにてお送りしましたー。

このSSを貰ってから、しばらくルクフリのことばっかり考えておりました。
なんといってもこの、ルク兄さんの繊細な心情が伝わってくる文章いいな…!
フリードへの気持ちの強さとか。その気持ちが何なのか分かって言ってるのか、とか^^;
そばにいて護りたいのに、それがこれからも続くと思っていた。…なのに
こんな可愛い嫁をなんで突き放したしフリードぉ…… ←
なんだか申し訳ない気持ちになりつつ…(笑)
その後旦那の帰りを待つルク嫁妄想に2828したり←
楽しみました!うゆぽんありがとうございました!!
書いてくれたら絵を描くよ!って前に宣言したので
近いうちにまたなにか描くねー(´▽`)

当初フリードは、17,8で子持ちになって、嫁に逃げられ
バツイチ子持ちになる設定を考えていまして^^;
さすがに待ってるルク兄さんの所に帰ってきたら子連れ…とかあまりに
昼ドラ展開じゃないか。しかもルク兄さん
ちゃんと面倒見てくれそうで申し訳ないよねw没でしょうww(^o^)